歴史的近造物の再生と「見える化」するオフィスリノベ

三浦印刷 専有面積:171.3㎡ エリア:北海道 札幌

創業70年を超える、印刷業を営む企業のオフィスリノベーション。オフィス環境を快適にすることはもちろん、 これからの企業ブランディング、社内コミュニケーションの活性化なども視野に入れながら、半世紀以上を経て、自社オフィスを生まれ変えさせる プロジェクトです。顧客から見る働き手、スタッフ同士、積み重ねてきた歴史などを「見える化」することが設計コンセプトとなっています。

BEFORE

残存すること、さらには、使用されていることが稀有である、歴史的にも価値のある札幌軟石の建物。築70年超の貫禄もあり、そのままでも十分すぎる存在感を放っていました。 ただし、インフラや断熱性能などは、現代のオフィス空間で置き換えれば、全くと言っていいほど使い物になりません。建物のポテンシャルを活かしつつ、機能性・利便性を現代のスペックまで引き上げることが、計画を進める上で最も重要な課題となりました。

PLAN

BEFORE
AFTER

来場した顧客は、働き手を横目に見ながら、ミーティングルームや工場エリアにアプローチするような動線を確保。 社員の人達は、コミュニケーションが取りやすいよう、できるだけオープンな執務室を確保しました。ホールは広めに確保し、ちょっとした立ち話や打ち合わせが行えるほか、エントランスから入室した時の開放感を演出します。

AFTER

  断熱材充填+二重サッシで断熱性能UP、エアコン設備+灯油ヒーターで空調機能UPといった、オフィス環境を整える工事と、歴史的建築物の要素をアクセントとしたデザインや、パブリックスペースを最大限確保するプランニングなどを、同時並行で行なっていきました。 歴史的価値を見直し、現代のニーズをうまく絡み合わせた、リノベーションオフィスが出来上がりました。

札幌軟石と木板貼りの壁

解体を進めてい くと、内部にもに姿を現した札幌軟石。当時の状態のまま塗装を施し、壁面デザインの一部として取り入れました。また、木板貼り壁は、石壁とのコントラストをつける共に、北海道の「ミズナラ」をイメージさせる素材を選定しています。

オープンレイアウトの執務室

間仕切りやパーテーションを設けず、造作オフィス家具やデスクの配置のみで、空間設計しています。執務室の中心にある造作収納家具は、ショートミーティングやちょっとした相談など、突発的なコミュニケーションでも対応できるように、スタンディングで使用するのにちょうど良い高さに設定しています。

シースルーなガラスドアや内窓

各室に出入りする建具は、全てクリアガラスドアを採用し、壁面にも内窓を多めに設置しています。視線が通り抜けることにより、空間の広がりを演出しています。また、話し声を通すことなく、働き手の姿を見ることができます。